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  3. UX DAYS TOKYO 2019 イベントレポート vol.1 ー午前の部: 「継続的ユーザーオンボーディング」と「音声ユーザーインターフェースデザイン」 ー

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はじめに

去る2019年4月5日(金)、今年も大崎ブライトコアホール にて、世界で活躍するUXデザイナーからUXについて学べるカンファレンスである「UX DAYS TOKYO 2019」が開催されました。
デザイナードラフトは、今年は運営企業である株式会社リブセンス(以下、リブセンス)と共同で、UXDAYS TOKYOのスポンサーをさせていただきました。
昨年開催された、「UX DAYS TOKYO 2018」のレポートは こちら です。
今回、こちらの記事では、カンファレンス自体に参加させていただいた、リブセンス所属のデザイナー陣がイベントレポートという形で、当日の様子や講演内容をお届けしたいと思います。

今年のテーマは「ビジネスのためのUX 成功できる強いチームになる」ということで、日頃インハウスデザイナーとして、様々な職種のメンバーと協業しているリブセンスのデザイナーチームもノウハウを学ぶべく参加してきました。
その様子を、それぞれレポートします!

10:00-10:30 集合・受け付け

当日は見事な晴天。最寄りの大崎駅からの道すがら、桜も満開でした。

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デザイナードラフトはゴールドスポンサーとして参加しています。

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10:40-11:30 セッション1 「継続的ユーザーオンボーディング」

午前中最初のセッションは、オンボーディングについてのセッションです。

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Krystal Higgins(クリスタル・ヒギンズ)
Google シニアユーザーエクスペリエンスデザイナー

レポーター:並木 惟(不動産ユニット IESHILメディア企画グループ デザイナー)

すばらしいオンボーディングにより継続率を伸ばすことができる

【✓】まずはゴールを考えるべき

オンボーディングの最終ゴールはどこにあるのか?

【✕】私は、昔はこう思っていました

はじめのチュートリアルでガーッと説明
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UX DAYS TOKYO 2019 Krystal Higgins氏による『継続的ユーザーオンボーディング』の資料の一部

「完了です!」というメッセージの画面
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UX DAYS TOKYO 2019 Krystal Higgins氏による『継続的ユーザーオンボーディング』の資料の一部

オンボーディング完了!☺️

オンボーディングをやりきることができたら、私の仕事は終わりだと思っていたが、この考え方はWebだと通用しない!
Webは継続的なものなので、「ここで終わり」というのはない。しかし、なぜ「そこで終わり」と思ってしまうのか?
本当のオンボーディング とは、たくさんのイベントを通じてユーザの旅がはじまるので、長期的なアプローチ製品を通じてユーザをガイドする ことが必要である。

今日のトピック
なぜオンボーディングを長期的に考えなければならないのか?

オンボーディングの役割

  • Familiarize(慣れてもらう)
  • Learn(ユーザー行動を学ぶ)
  • Convert(コンバージョンしてもらう)
  • Guide(ガイド・サポートする)

これらは 一日で完結するものではない
企業における社員研修は 同じ考え方(企業の研修は6ヶ月かけてやったりしますね)
プロダクトにおいては6ヶ月も必要はないかもしれないが、少なくとも1日ではないと考えられる。

ユーザがアプリをアンインストールするか判断するのは 3〜7日 くらい、つまりここが勝負どころ。

具体例

Lumosity

脳トレWebサイト。はじめにゲームから始めて、その結果を表示し現在のレベル感をユーザに伝えるように作られている。
Learn
Eメールでスコアのまとめ、無料トライアルの提供、有料プランの説明をする。
Convert
有償プランをおすすめする。
Guide
他のゲームを見せる、アンロック条件などの説明をする。

IFTTT

Familize
まず慣れ親しむ
Learn
ユーザの選択により、何に興味あるか?をシステム側で学ぶことができる。
Convert
タスクに慣れ親しんでもらってから、契約に進んでもらう。
Guide
契約後、次のステップを進無事ができる(他のアプレットを表示するなど)。

Etsy

Learn(Reinforce)
画面の一部の領域を使って、「こんなことが出来ますよ」と伝えてあげる

オンボーディング、他の重要な要素

Reinforce強化)について
人は何かを学んでも忘却曲線に沿って忘れてしまうが、継続して 情報を与え学んでもらうことで「Reinforce(強化)」する。

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UX DAYS TOKYO 2019 Krystal Higgins氏による『継続的ユーザーオンボーディング』の資料の一部

教育の現場では Spaced repetition間隔反復)と呼ばれる
カスタマージャーニーの助けになり、すでにある機能を改めてユーザに届ける事ができる。

新たな機能を追加したときに、あらためてオンボーディングが必要になる

Google docsは実際に取り組んでいる。

  • Familiar(まず親しんでもらう、利点を理解)
  • Guide(どこが変わったか?)
  • Learn(ゆっくり学習してもらう、フィードバックをとる)
    そして、学んだ内容を次に活かす、というオンボーディングの内容。
    新しい機能を伝えるだけでなく、現バージョンと新バージョンの機能をゆっくり学んでもらうこともしている。

サービスにおいて離脱はよくある

たとえば、確定申告のサイトは年に1回くらいしか使わない。
しかしそんなときにも、オンボーディングを導入して、適切にガイドしてあげることができる。
久々に使う人に「以前のバージョンと何が変わったか?」「何ができるか?」などの案内をするなど、様々な状態の人をサポートすることができる。

複数のイベントについて考えるだけでは足りない!

オンボーディングは、全員が全員同じルートをたどるわけではありません。
サービスに対する期待値も、使うに至るコンテキストも人によって違うからです。
ここで、Linda Nilsonのことばを借りると、
“People learn new material best when the encounter it multiple times and through multiple modalities.”
みんなにうまくいく、一つのバージョンを作るのは不可能
ということです。

新しいことを学ぶ最高の方法は、様々な方法で複数回繰り返せばよいのです。
多様なツールキットを構築し、オンボーディングの様々な手法を使い、色々なUXに適応していくことが重要です。

アプローチを多様化するための5つのカテゴリ

① Defaults(デフォルト設計)
情報をどのように設計するかが、最初の問題。

  • まずは空の状態からはじめて、チャット形式でユーザに選択させる(今後の行動のヒントを与える)。
  • デフォルトテーマが決まっている(面倒なカスタマイズを強いられない、すぐ使える)。
    ※ デフォルト設定から変えるユーザは5%ほどしかいないので、情報設計が重要になる。

② Inline guidance(インラインのガイダンス)
たとえばInstagramのストーリーを例に取ると、他のストーリーの中に、「新規ストーリー作成」のボタンを組み込んでいるということがガイダンスにあたる。
コンテンツの合間に自然にガイダンスを紛れ込ませることでガイダンスをする。

③ Reactive guidance(インタラクティブなガイダンス)
その機能をすでに知っている・不要な人には邪魔にならないように、アクションがあった場合にのみ知らせるガイダンス。
「ブラウザ上にファイルをドラッグすると、インタラクティブにヒントを表示する。」や「ゲーム終了後に「フィードバックをお願いします!」と表示する」などなど。

④ Proactive guidance(先を見越したガイダンス)
ユーザを教育するときに使うガイダンス。
しかし、「邪魔なタイミングでメッセージを出す」などの、間違ったガイダンスをしているプロダクトを多く見かけます。

duolingoを例にすると、

  • まずユーザのやりたいことを確認
  • インタラクティブなレッスンツールが始まる
    まずはじめに成功体験をしてもらうことを、サービスのガイダンスとして捉えている。

⑤ On-demand(要求に応じた動作)
ユーザーが 自分で検索 し、自分で答えを見つけられるようにしておく こと。オンラインヘルプなどがそれにあたる。
ユーザーの状況に合わせて他の方法を提供できるようにしておくことも大切。

オンボーディングを設計するにあたって、新しく機能を追加するようなことはないはず
無理やり入れてもユーザに違和感を与えてしまうので、すでに提供しているUXを見直し、ない部分だけ作ってあげればよい。

どうやってオンボーディングを評価する?

よくある短時間(5分間ほど)のユーザテストも大事だが、これらの短期間のユーザ行動ではオンボーディングを測ることができない。
長期間かけてオンボーディングをよくしていくために、カスタマージャーニーを俯瞰し、その中でチェックポイントを設け、離脱した人がなぜそのタイミングで離脱したのか?、アンケートを取る、などのフィードバックを経て、長期的に学び、継続することで、カスタマージャーニー全体を改善していくことができる。

さいごに

オンボーディングはどこで終わるのか?」を改めて、みんなで考えてみよう
「ユーザーによっても、チーム一人ひとりによっても違う、違うからこそ、チェックポイントを設けて計測していこう。」
とのメッセージがありました。

来場者からの質問

なぜマーケティング担当との協力が必要なのでしょうか?

顧客の、製品に対する期待値から外れていると失敗してしまうため、製品のデザイナーとマーケティングがちゃんと連携して、顧客が何を期待するのか?意識合わせしておく必要があります。とのことでした。

11:40-12:30 セッション2 「音声ユーザーインターフェースデザイン: 旧来の問題に対する新しいソリューション」

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Cheryl Platz(シェリル・プラッツ)
ビル&メリンダ・ゲイツ財団 プリンシプル UXデザイナー、Ideaplatz, LLCプリンシパルデザイナー兼オーナー

レポーター:飯田 智美 (キャリア事業部 転職会議 ユニット デザイナー)

音声ユーザーインターフェースは流行りもの?

音声インターフェースは、最近流行り始めたものという印象を持たれがち ですが、決して新しく生まれた問題を解決するために最近出てきたものではなく、従来からある問題に対して対応可能な解決策であるとのことでした。
実際にアメリカでは、ここ数年で音声ユーザーインターフェースが取り入れられることが増えていますが(もちろんアジアやヨーロッパでも増えています)、そのほとんどが キッチンタイマーアラーム設定メディアの検索 など、従来からあるサービスに対して提供されている 様です。少し新しいかな?というものは質問を投げかけて答えてくれる…みたいなものくらいだそうです。

今現在、音声インターフェースは「新しく出てきた流行」の様にとらわれがちですが、Cherylさんによると決して一過性のものではなく、これからもずっと残っていくものだとおっしゃっていました。
これまでのほとんどのインターフェースといえば「手で入力して、目で読む」物理的なものでした。これに対して、音声インターフェースは言葉を投げかけ、音声で返答がきます。人間にとって、音声の発話・聞き取りは毎日使う基礎能力であり、直感性が随一です。
人類が何千年もかけて進化してきた 基礎能力=会話術インターフェース として使えることで、よりスムーズな体験を提供できるのです。

なぜ今音声インターフェースなのか

実は、音声インターフェースは新しいものではなく、1952年にはすでにベルラボが音声入力の実験をしていたそうです。
ただ、会話をコンピューターに落とし込むにはデータの処理量が大きく、当時の技術では現実的ではありませんでした。
その状況は1980年代も変わらず、1990年代でようやくディクテーションが実現したレベルでした。
ブレイクスルー2008年Googleが音声検索を始めてから です。ここから自然言語処理が利用されはじめ、今ようやく隆盛してきたのです。
これまでは「〇〇して」といったコマンド的な発話が主だったのが、自然言語処理が可能になったおかげで様々な「ゆらぎ」を包括して認識できる様になり、より自然なやり取りで音声インターフェースを利用できる 様になりました。

音声インターフェースの利点

音声インターフェースには以下の様な利点があるそうです。

  • ユーザーのトレーニングが必要なくなる
  • 常にスクリーンを見る必要がない
  • 周囲と滞りのない会話ができる
  • 直接膨大な量の情報にアクセスできる
  • 新しいタイプの顧客を確保できる(高齢者や障害者)

特に、直感的でアクセシビリティが高い という点は、デバイスを使うことが難しい高齢者や障害者を含めたインクルーシブなサービス提供につながるため、導入の理由として非常に説得力があります。

チームを巻き込んで音声インターフェースの導入を進めるには

音声入力が良さそう」となった時点で、チーム全体を巻き込んで進めていくのが良いそうです。
もし反対意見を持っている人がいる場合は、それを説得する材料を用意するのが必要とのこと。
実例としては、 相手の疑問を明確にし、それに対してお客様のストーリーボードを作ることで相手を説得していった そうです。
これは議論のたたきになるものなので、大雑把でも良いとのことでした。
例えばAmazon echoでは、「これまでの入力方法だけでは顧客の行動を阻害している」ということを「キッチンで手を使えないとか、近くにデバイスがない、そもそもデバイスが苦手」といったシナリオを用意して説明したそうです。
ストーリーを作る際は、登場人物のコンテクストを織り込むことが大事 とおっしゃっていました。
これは音声インターフェースにかかわらず、どんなプロダクトでも応用できそうです。

音声インターフェースのデザインとは

音声インターフェースの基本コンセプトは以下の通りです。

  • 発話(顧客が話すものであり、音波として表現できる)
  • 意図(発話したものが含む意味・意図。発話とマッピングすることでわかってくる)
  • プロンプト(システムのレスポンス。文字でも音声でも。読み上げの場合は心地よく聞こえるように)
  • 文法(センテンス構築の元になる)

こちらをいかにデザインしていくか、がデザイナーの仕事になるそうですが、AIと向き合うのが大変 だとのことでした。
AIは確実性がなく、可能性が高い確率を元に答えを提示します。そこに違和感が出ないように、デザイナー観点のコンテクスト追加や、失敗した際のコンテクストシナリオを検討するそうです。
また、音声を発話するデバイスだと 社会的コンテクストが発生 してしまうため、場によって男女や年齢をどのように構成するのかも大事 になってくるようです。

実際にどのようにデザインをしていくかというと、

コンテクストと制限を設ける

  • ストーリーボードとシナリオ(コンテクストがわかる)
  • サイトマップの代わりに情報設計をコンセプチュアルマップのように作っていく
  • 意図とアウトプット例から、サンプル会話を作っていく(あくまでも代表例)

フローを作って制限を入れる

のように 経験そのものを可視化 してデザインをしていくとのことでした。

来場者からの質問

音声UIにおいて、Intentの設計で工夫してることはありますか?

特別なIntentを作ることもできますが、細分化しすぎると大変なので限定的に始めると良いです。
正しいIntentを見つけるためには、ユーザーリサーチが必要です。との回答がありました。

12:30-13:30 お昼ごはん&休憩

お昼ご飯、今年も豪華でした。
しかし、お腹いっぱいになるため午後は強烈な眠気に襲われます…(参加メンバー全員なんとか耐え抜きました)

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以上、午前の2セッションとお昼休憩の様子をお届けしました。
以降のセッションレポートは、UX DAYS TOKYO 2019 イベントレポート vol.2 ー午前の部に続きます