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  3. UX DAYS TOKYO 2019 イベントレポート vol.2 ー午後の部①: 「サービスデザインで現代的な体験の創出を」と「リサーチで最初の質問するべきこと」 ー

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はじめに

前回のデザイナードラフトレポートに引き続き、「UX DAYS TOKYO 2019」のイベントレポートをお届けしております。
前回のレポートはこちら「UX DAYS TOKYO 2019 イベントレポート vol.1」です。
1日の流れ通りに時系列でレポートしておりますので、よろしければ合わせてご覧ください。
今回は午後の2セッションのレポートをお届けいたします。

13:30-14:20 セッション3 「サービスデザインで現代的な体験の創出を」

午後はサービスデザインのセッションから始まりました。

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Nick Remis(ニック・レミス)
リードデザイナー(サービス&インタラクション)

レポーター:海野 恵凜那(キャリア事業部 転職ナビユニット メディアグループ デザイナー)

サービスは色々なものがあり、世界中で増え続けている

印刷機ができた時にグラフィックデザインが、工場によって産業デザインが、Webやアプリによって、UIUXデザインが、経済を牽引してきました。そして今、サービスデザイン が注目されています。

サービスとは?

ではサービスとは一体なんなのでしょうか。
経済学者に聞けば「経済活動の結果、物理的な証拠はあるが落としたりできないもの」と答えるでしょう。そんな中、Appleは「誰かの手助けをする、誰かのために仕事をする行為」と言っています。

サービスと製品の違い

サービスと製品の違いについて考えてみましょう。
サービスと製品の違い は以下の 3点 で示すことができます。

  • サービスは古くなる、保存しておくことができない
  • サービスは常に進化し機能しなければならない
  • サービスはオーケストレイトされる

それでは1つずつ詳しく考えてみましょう。

1. サービスは古くなる、保存しておくことができない

これについては例を示します。

【Adobeの例】
Adobeはかつてはphotoshopなどを物理で提供していたが、今はサービス提供会社になった。つまり、Adobeがなくなったらその製品は使えなくなってしまう

【治療の例】
救急キットはモノなので、ある限りは治療ができるが病院はサービス。つまり、病院がなくなれば治療を受けることができなくなる

サービスは 提供側がいなくなると、使うことや受けることができなくなってしまうもの なのです。

2.サービスは常に進化し機能しなければならない

サービスデザインは どのようにオペレーションするのか 考えなければなりません。今から理想的な未来まで、ステップを考える ことが必要です。
また、サービスは関係性が重要です。モノと違い、売ったら終わりではなくその後も 価値を提供し続ける 必要があります。そのためには、ユーザーがどう思っているのか、満足しているのか観察・改善し続ける ことが重要です。
サービスの収益を上げるには、新規顧客を集めるだけでなく、既存顧客との関係性を深めて行く 必要もあります。
関係性の構築をないがしろにすると問題に繋がってしまうこともあるでしょう。
ジャーニーマップ※1、ライフサイクルマップ※2 を利用し顧客との関係性を整理することも有用です。

※1 ジャーニーマップ:ユーザーとのタッチポイント(キーモーメント)を明らかにする手法
※2 ライフサイクルマップ:ユーザーが他社に乗り換える可能性がある時を予測する手法

3. サービスはオーケストレイトされる

サービスにおいては、タッチポイントが重要になります。
タッチポイントとは、顧客とサービスの間のインタラクションであり顧客がサービスに直接関わる点のことです。
これは顧客の体験で もっとも重要な点 となり、うまくタッチポイントを調和することによって顧客の体験が変わります。
同じサービスでもオーケストレーションが違うことにより、提供する体験は全く異なるのです。

例えば、飲食店は「注文する」→「食べる」という流れは同じだが、ゴールに到るまでの体験は多種多様 です。
サービスを提供する企業の中でもオーケストレーションをしなくてはいけません。
スタッフがきちんと仕事をできるようにトレーニングするなどが例に挙げられます。
オーケストレーションを失敗しないために以下のような手法が有効です。

エコシステムマッピング
どこに弱点があるのかを理解する手法。
顧客と関わる点はどこか、裏ではどのようなシステムやオペレーションになっているかを確認する。

ブループリント
背景で何が必要なのかを知る手法。
顧客のエクスペリエンスが次のエクスペリエンスにつながっているのかを知る。

サービスの実施
色々なタッチポイントをテストする手法。
立ち位置、説明方法、プロトタイピングなどの動くものを利用してテストする。

ここまでがサービスと製品の違いの話になります。ここからはサービスデザインについて考えていきましょう。

サービスデザインは複雑

サービスデザインは非常に多様な要素を含んでいます。
サービスデザインでは、製品・ビジネス・顧客の体験だけでなく、組織・風土・文化など も考える必要があります。また、人間中心設計 が重要です。
ここでは顧客やサービスを提供するスタッフはもちろん、サービスの中のステークホルダー全てを考えましょう。

サービスデザインは名詞ではなく動詞である

関係者を巻き込み、全員が非常に深いレベルで関わらなければなりません。
関係者が、自ら経験やストーリーを発言してくれれば、デザインはうまくいっているととらえてよいでしょう。

サービスデザインはマインドセットが重要

マインドセットは全ての分野を繋いでいきます。サービスデザイナーは ファシリテーター なのです。
デザイナー1人で行うのではうまくいきません。周りを巻き込んで理解してもらう ことが必要です。

なぜ今サービスデザインなのか?

サービスデザインは、あくまでサービスのデザインです。
製品ではありません。製品だと問題ばかりに目がいってしまい、解決策から目がそれてしまいます。

サービスデザインプロジェクト

サービスデザインで有用な手法を段階ごとにまとめました。

エコシステムマッピング
広い観点で、サービスがおかれている環境を見るための手法

デザインリサーチ
顧客のニーズ、課題の理解するための手法

ジャーニーマップ
顧客との関係性において、どこにフォーカスを当てるべきかを把握するための手法

ブループリント
ユーザーに向けて、サービス内部に向けて両面でどう変わるべきかを見るための手法

アイディエーション
課題解決するアイデアをつくるためのフレームワーク

プロトタイピング
実際に触ることができるものを作成し、体験する手法

テスト
プロトタイピングを用いて、オーケストレーションするか知る手法

サービスビジョンの共通理解

何か機能を変更などするたびに、この流れを永遠に繰り返すことが必要です。
なぜなら、サービスは常に変わり進化するもの だからです。

サービスデザインへのアプローチを変えることで、あなたのサービスはより良くなることでしょう。

来場者からの質問

サービスデザインのプロセスにおいて、デザインリサーチは具体的にどのような作業でしょうか?

UXのプロセスと似ています。お客様の欲求、動機を理解し、デザインに反映するということです。
エクスペリエンスのペインポイントがどう変わるか?そのサービスがどのように機能しているか?調べるため、長期的・継続的に行なっている、とのことでした。

14:30-15:20 セッション4 「リサーチで最初の質問するべきこと」

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Erika Hall(エリカ・ホール)
Mule Design Studioの共同設立者。担当は戦略ディレクター。

レポーター:木村 辰(キャリア事業部 転職ドラフト プロジェクト デザイナー)

うまく質問をするにはどうしたら良いか

インタビュー」「アンケート」「ユーザビリティテスト」等すぐに方法論を決めようとするが、「本当は何を知りたいのか」を理解するのが大事。
デザイナーはイノベーションをしたがるが、現在のこと、過去のことを振り返るのをあまりしない。
UXを設計にはリサーチが必要で、「どうして今この状態なのか?」を理解すると、そこから将来の成功につなげる事ができるようになる。

どんなUXでもデザインでも、結局は一連の意思決定でしかない。
しかし、デザインにおいては表層の話はするが、「これは良い意思決定だったのか?」を議論をすることは少ない。
つまり、本当の世界をきちんと見て意思決定が行われていることは少ない、ということ。
となると、デザインにおいては思い込みが影響していることもある。自分が思い込んでいることを変えるのは難しい。

この思い込みを壊すためにも、「何を知るために顧客に質問をするのか?」「どうして質問するのか?」を考えて理解することが大事。

ユーザーを理解するのは当たり前

ユーザーを理解するのと同様に、自分の組織のことも理解していなければならない。

チームの目標技能関係性現実 に照らして考える事ができる。
質問をしてもそれ自体をあまり評価されることはないため、問いかけをしない癖が付きがちだが、同じ質問を何度もしても、新しいことを学び続けることができる。
なので、疑問を投げかけることはとてもパワフルなことであると意識すること。

また、リサーチャーでいるということは「質問し、新しいことを学ぶ」こと、つまり「考え方を変えていく」ということ。
チームで協力すること、チームで共に疑問を持つことなど、同じプロセスに身を置き、一緒に質問をし学ぶことが大事となってくる。

目の前にある日常を一旦置いておいて、想像してみよう

例えば私たちがエイリアンで、地球人を見たときに「私たちの持つテクノロジーで地球人を助けてあげたい…」と思ったとしましょう。

提供するものが地球人に役立つかどうかわからないし、そのままのテクノロジーは提供できない。
そうするとつまり、エイリアンは地球人に質問するしかない、ということを示しています。

たとえば…
地球人に新しいクリーンなエネルギーをあげよう
宇宙人は地球のエネルギーをまず調べることになり、情報に基づいた意思決定をするためのリサーチする必要性が出てくる。

つまり、目的を達成する時、何が必要か何が障害か知ると、自ずと質問が出てくる。
この場合は、検索エンジンにただ入れても何も知ることができません。
質問して知るという「目的」__があって初めて知りたいことを知ることができる。
リサーチのすることだけでは意味はなく、__ビジネスに結びついて初めて、リサーチをすることに意味が出てくる

また、リサーチする際には「競合がどのように解決しているか?」を調べることも大切。

社内の環境について

サービスを作れば成功すると思っているデザイナーやエンジニアもいるかもしれません。
しかし、これは「自分たちの力を過信している」「間違いを突きつけられるのが怖い」のあらわれで、これが失敗のリスクにつながっています。

QUESTION 0
そこで、Question 0 という手法があります。
これは、他のどんな質問よりも先に「我が社はどのように意思決定をしているか?」を質問をする必要があることを示しています。

しかし、信頼感を構築する前では、こういった質問をし、間違いを指摘するのがとても難しく感じられると思います。
つまり、この質問をするのは勇気が必要です。様々なものに配慮する必要があります。

しかし、成功させるためには、まず自分の会社を顧客と同じくらい理解して、信頼関係を築くことが大事 なのです。
信頼関係ができた状態であれば、質問をすることが武器になります。チームみんなで成功できるのです。

リサーチの質問はどんなものがいいのか

リサーチがうまくいくかどうかは正しい質問を投げかけられるかどうか

Good Questionとは
Specific(具体的)Actionable(実用的)Practical(実践的) な質問のことを言います。

以下は、Bad QuestionとBetter Questionの例です。

例)Bad Question
「若い世代に好かれるにはどうすればいいだろう?」
「若い世代」はひとくくりにできないし、利益は行動によって生まれるので、とある世代が好きかどうかは、企業にとっては重要ではない(好きだからお金を使うわけではない)。

例)Better Question
「若い世代は、いつどこでピザを食べているんだろう?」
「私たちの製品を使う中で、一番混乱するのはどこだろう?」

より具体的、実用的、実践的である質問のほうが有効な質問となります。

ユーザーリサーチにおける4つの種類

Generative Research
まず、「解決すべき問題が何か」を 知るためのリサーチ で、サービスにおいての最初にする種類のものです。
目的は、解決するための問題を定式化し、問題の関連性を確実にしておくことです。

Descriptive Research
どのソリューションがサービス内のコンテキストにおいて 機能するのか、またどのソリューションパターンが 機能しないのか理解するためにするリサーチ です。
目的は、コンテキストをよく理解し、解決策のアイデアを得て、それが問題の解決策になることです。

Evaluative Research
アイデアをテストするためのリサーチ手法 です。
問題を特定し、それを理解し、そのコンテキストやユーザーを理解し、出したアイデアを使い、ユーザーに対してどの方法が最も効果的か、そしてどのようにして解決するのかをリサーチします。
基本的には初期のUXに関わるテストで、私たちが頻繁にしているリサーチです。
このリサーチの目的は、ソリューションがうまくいくか、問題を解決できるのかどうかを知ることが目的です。

Causal Research
なぜユーザーはその機能を使わないのか、なぜフォームに署名したくないのか、なぜ彼らは必要なものを見つけられないのか?を知るためのリサーチです。
つまり、これは 因果関係にまつわるリサーチ です。
このリサーチも用いると、サービスをブラッシュアップし、より良くできます。
それは私たちができる、最も具体的かつ非公開なリサーチです。

具体的な手法

インタビュー
具体的な言葉で日常を語ってもらう手法。
インタビュイーは、発言した内容と行動が必ずしも一致していない場合がある。
インタビュアーは、質問を予測させず、正直に答えられる質問を作成する必要がある。
「これ好き?」「これ買う?」という質問は意味がないのでしてはいけないとのこと。

A/Bテスト
実際に比較して、「よりよい」方がわかるリサーチ手法。

アンケート調査
簡単に行えるが危険な手法でもある。
それでいて、アンケートで取得できた簡単に認知できるデータが真実であると思いがち。
アンケートの背景には「偏見があったり」「質問が良くなかったり」「答えは集まったが使えない」など様々な要因が存在する。

リサーチするには「定量的な情報、定性的な情報のどちらが欲しいのか?」を見極めてリサーチすることが大切であるとのことでした。

来場者からの質問

ターゲットユーザー、調査対象の選定によい方法はあるでしょうか?

残念ながらリサーチのチャンスが少ないとリスクが高くなります。誰をターゲットにしたらいいのか、推測でいくしかない場合は成功率が低くなります。
継続的にする必要があり、そのためにはサービスを提供する側の会社がまず学ぶことです。との回答でした。

15:20-15:40 休憩

去年は和菓子をいただきましたが、今年はショートケーキでした。コーヒーとの相性もよく、美味しかったです。

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休憩時間中のスポンサー発表枠で、弊サービスと弊社からの説明がありました。

デザイナードラフトのサービスのご紹介と、
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弊社プロダクトにおけるUXの取り組みと関連職についてご紹介をさせていただきました。
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vol.2では、午後はじめの2セッションとおやつ休憩の内容でお届けしました。
次回のセッションレポートは3本目で最後のレポートです。
UX DAYS TOKYO 2019 イベントレポート vol.3 ー午後の部②に続きます

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開催まであと
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