フリーランスとして働くか、それとも正社員として働くか。
デザイナーのキャリア選択として、多くの方が一度は2つの道を考えるのではないでしょうか。
デザイナードラフトを通じてBASEのインハウスデザイナーになった野村さんは、つい数ヶ月前までフリーランスとして働いていました。
今回はそんな野村さんに、会社員からフリーランスになり、また会社員として戻る決断をした背景について伺います。
採用時のエピソードについては、BASEのデザインマネージャーである早川さんにもお話しいただきました。
野村 惇:BASE株式会社 BASE Product Division デザイナー
早川 宗亮:BASE株式会社 BASE Product Division デザインマネージャー
フリーランスから正社員への転身を考えた理由
ーまずは野村さんのキャリアから伺いたいのですが、元々はフリーランスで働いていらっしゃったんですね
野村:そうなんです。大学卒業後はUIをデザインする会社に2年間勤めて、その次の勤め先では他社への出向・常駐みたいなことも経験しつつ結構多彩な環境で受託デザイナーをやってきました。
当時から「そのうちフリーランスをやってみたい」と思っていて、ある時期から複業でフリーランス活動を始めて、徐々に会社での勤務時間を減らしてフリーランス一本に移行していきました。
ーなぜフリーランスから社員としての働き方に戻る選択をされたのでしょう??
野村:周りから「フリーランスとして働くのは簡単じゃない」という話をたくさん聞いてはいましたが、自分では「好きなことを続けられていれば、きっと苦にはならないだろう」と思っていたんです。
でも、実際にフリーランスとして働いてみると、「本当にプライベートの境目がなくなるんだ!」と実感して。夜遅くに仕事をしてて寝落ちしてしまい、夢の中で作業をしていて…目覚めたら「あ、夢だったんだ」なんてこともありました(笑)
ー夢の中でも作業していたんですか!?
野村:あの時は自分でもびっくりしましたね。それ以外にも、デザイナーの友達と話している時に「これは仕事の延長でしゃべっているのか?それとも単純におしゃべりしているだけなのか?」と困惑することがあって…。
「このまま続けていったら身も心も消耗してしまうから、2~3年くらいが限度だな」と痛感しはじめたんです。だから、いずれ自分はどこかの会社に属するだろうなとは思っていたんですよね。
そんな時に、あるスタートアップの会社から、将来的にジョインすることを前提として、「常駐の業務委託で半年から1年のスパンでやってみないか」と誘ってもらい、30名ほどの会社に、たった一人のデザイナーとして入ったんです。
ただ、そこもなかなか上手くいかなかったというか…。
受託で仕事していた頃は、要件が色々整理された状態で仕事が入ってきていたので、基本的には「言われていたこと」をやってたんですよね。
だから、インハウスデザイナーとして自分一人でやっていこうとした時に、イマイチ振る舞いが分からなくて。
ー受託での仕事と、インハウスの仕事では、進め方が結構違いますもんね。
野村:そうなんですよね。まず誰に相談すれば良いかとか、関わる社員一人ひとりに話しかけるのも効率的じゃないし、自分なりに判断してやっても空回りに終わってしまったり…。
「これは今手を動かさなくていい」と判断していたものに対して「今の進捗どうなってる?」と聞かれて、大急ぎでやることもありました。
あとは、当時プライベートで勉強会の手伝いなんかもしていて、「デザインチームで仕事をしたら楽しそうだな」という思いもありました。
そんなこんなで「今の働き方を変えるべきかな?」と悩んでいたタイミングに、デザイナードラフトからの「もうすぐ次回参加の締め切りです」という通知がメールボックスに入ってるのに気づきまして。
選択肢をふやすためにデザイナードラフトに登録
ーその頃から、デザイナードラフトに登録していただいていたんですね。
野村:実はフリーランスで働いていたときから「幅広い選択肢を持ちたい」と思っていたので、転職サイトにはいくつか登録していたんです。
デザイナードラフトは、ツイッターで誰かが呟いていたことがきっかけで知ったんですが、単純に「年収付きで指名が来るのが面白そうだな」と思って登録して。そういうサービスが他になかったので、好奇心で登録していました。
ーデザイナードラフトに登録する際は、どんなことを意識してレジュメやポートフォリオを作っていたのでしょうか?
野村:実はそれが、何も考えていなくて…(笑)
当時の記憶が曖昧なのですが、確かフリーランスで働くための営業ツールとして作ったポートフォリオをそのまま添付していたと思います。
で、ポートフォリオの審査は通ったもののドラフト開始前のプロフィール記入項目が結構あって。その時は転職活動を本格的に行っているわけではなかったので、入力が手間に感じてしまって「やっぱいいや」と放置してたんです。
でも、「あなたのポートフォリオを見てくれている人がいるよ!」というメールのアラートがあって…。なんだかんだで3社からご指名を頂いてしまったんです。
ー実際に指名を受けた時はどんな風に感じましたか?
野村:初めはお試し気分で登録した… というか登録できてないと思ってたくらい関心なかったのに、指名をもらえたのはなんかすごく嬉しくて、「すげー単純だな自分」って思いました。
今思い返してみれば、自分のデザイン価値がドラフトで選ばれるということが嬉しかったのかもしれません。
ーデザイナードラフトは、現年収を最後まで伝えなくて良いというルールがあるんですが…それってお気づきになられてましたか?
野村:いや?多分気づいてないですね(笑)
ーそうなんですね。現年収が非公開だから実力で評価されるというのはサービスの売りなんですけど、なるほどお気づきになっていなかった(笑)
ものづくりにこだわるBASEだからこそ芽生えた「組織作り」への思い
ー先ほどもフリーランスから一度インハウスの働き方をしてギャップがあったとおっしゃっていましたが、その時のことも踏まえつつ、BASEに入社してからご自身の中でも何か働き方への変化はありましたか?
野村:まず、私がBASEを良いなと思った理由として、端的に言うと「作ることにこだわってきた人たちだな」と思ったんです。
元々フリーランスで働きたいと思った理由の一つは「手を動かして作り続けたいから」でして。
以前に所属した環境では、どうしても「マネージャーになって手を動かすことから離れること」を要求されがちで、それが自分の志向とマッチしなかったんです。
フリーランスならば自分で計画立てて制作作業の時間を確保できるのものの、当然業務管理・営業も自分でやらなくてはいけなくて、時間配分がなかなか難しい。
今になって思えば「作りたい」という思いに囚われすぎていた感もあるのですが、「転職するとしても制作作業メインの立ち位置であり続けたい」と思っていました。
それで、面接で色々と話を聞く中で「BASEでならばずっとモノを作り続けることができそうだな」って。
実際入社して、その読みは当たっていたと思っています。メンバーも作ることにこだわっているし、キャリアが長いからという理由で無理にマネジメントに行かされるような空気もなく、自分の作りたいように作れるというか。作ることにこだわっていけるのが良いところですよね。
ー「作ること」にこだわった結果、理想の環境にたどり着いたんですね!
でも、実際作ることにこだわるBASEのチームに入ったら、こだわり続けるのもちょっと違うかなという思いが芽生えたんです。
ーどういうことでしょう?
「みんなが作ることにこだわっているからこそ、もっとそのこだわりを活かす動きも必要なんじゃないか」と思えてきまして。
例えばユーザーさんのことをちゃんとリサーチして見れているかとか、組織としてデザイナーが考えていることをちゃんと社内に共有できているかとか、もっとうまく機能させられる部分があるんじゃないかと感じるようになりました。
そうなると、もともとは「作りたい」と思って入社したはずが、一旦そこに注力するのは抑えて、ユーザーさんの期待を超えるデザインを考える機会構築やデザイナーの考えを伝える仕組みを考えていかなきゃいけないのかなと思ったりしています。
ー改めて広い意味での組織づくりに目が向いてきたということでしょうか?
野村:そうですね。デザインチームに限った話でなく、他の部署とも積極的に絡んでいきたいです。まだあまり業務で絡む機会がないのでこれから増やしていきたいですね。
BASEに入ることで、組織に対する視野が広がったかなとは思っています。
BASEが野村さんを選んだ理由
ーここで採用側の立場から、野村さんを採用しようと見極めたポイントとビビッと刺さったことってなにかあったんですか?
早川:私は1回目のカジュアル面談で野村さんにお会いしたのですが、「この方めっちゃBASEに合う!」と素直に思いました。
特に野村さんが手がけられたiPadアプリのプロダクトが、個人的にすごく刺さったんですよね。
野村:iPadで子どもの手形が取れるプロダクトのことですよね?
あれ、私がフリーランスを始める前に完全な趣味で作ったものなんです。
ープライベートでのアウトプットも、ポートフォリオに入れていたということですよね。
野村:はい。趣味とはいえ、生み出す過程で色んな人にプロダクトに触ってもらううちに、機能を実装することよりもいかに良い体験を生み出すかに方向が切り代わって、思った以上に評判の良いものができたんです。
だからフリーランスの時は、当時のことをポートフォリオにまとめて営業開拓にも使っていました。
早川:これが本当にUXの部分でもとても秀逸で、小さな子どもがいる私にはかなり刺さりました。
それに、野村さんは友達のお子さんのためにこのプロダクトを作られたそうですが、誰かのためにここまで一生懸命になれるって素敵だなって。
なにより、BASEのユーザーさんのことをまず第一に考える「プロダクトファースト」の考え方にも共感しますしね。あまりにも感動的だったので、社内Slackでシェアしたところ、「すごく素敵じゃん!」ってコメントがたくさん集まりました。
デザイナードラフトでBASEが見るのは、グラフィックの綺麗さよりサービス作りの工夫
ー早川さんが「こんな人には指名を出してしまう!」というポイントがあれば教えていただきたいです。
早川:正直、ポートフォリオがない人はレジュメも見ないです。野村さんの登録内容を改めて見てみると、ポートフォリオで「その人」をある程度判断しやすいなと。一方で、レジュメの内容はとても薄いですけどね(笑)
野村:レジュメは本当に必要最低限のことを書いただけでしたからね…。
でもポートフォリオは、フリーランス時代の営業先開拓に使っていたものを添付していたから、自分の得意分野を説明したり、今まで自分が受けた仕事でどんなアクションをしてきたかを具体的に書いていたと思います。
早川:とはいえ得意分野を見せていただく場合でも、ポートフォリオにPDFだけ貼っている場合は「正直、判断つかないなぁ…」となっちゃうんですよね。
BASEはWEBサービスを扱う会社なので、UI/UXをどうデザインしているかは気になるところなんです。ポートフォリオからそこを判断できない場合は、残念ながら指名をためらってしまいます。
ーそうなると、ユーザー側はオリジナルのポートフォリオサイトを持っていた方が有利なのでしょうか?
早川:いえ、「オリジナルサイトを0から作らなくては」と身構える必要はないんです。
今は簡単にオンラインのポートフォリオを作れるサービスはたくさんありますよね。
だからこそ、その手間を惜しまずポートフォリオを用意している人は好印象です。
それと、綺麗なグラフィックにキャプションが並べられているだけのポートフォリオは「綺麗だな」と思うだけでそこから先に進まなかったりします。
ー一般的に考えれば、綺麗なポートフォリオは評価対象になりそうですが…。
早川:僕らが知りたいのは、サービスを生み出す上でどんなことを工夫をしているか、なんですよね。
先日見ていて参考になったのは、50ページくらいの内容をXDのプロトタイプ機能で全て遷移できるようになっていたポートフォリオです。簡易的ですがUXを知ることができるなぁと。
こうして偉そうに話していますが、色々ポートフォリオを見る中で「こうやってアピールするんだ!」と、こちらが勉強になることも多いんです。
だから、「こんなポートフォリオを作る人なら会ってみたい!」と思えることが多いのがデザイナードラフトの面白さかもしれないですね。
BASEはプロダクトファーストの会社
早川:先ほど野村さんも言っていましたが、BASEはものづくりを追求したい方にはぴったりな環境だと思います。
BASEには「良いプロダクトを生み出して、ユーザーさんが幸せになることが全て」という共通認識があるので、デザイナーもエンジニアもPMも「良いものを作ろう」という認識がブレないから、スムーズにやりとりできる環境なんです。
野村:みんなタスクに対して積極的ですよね。やるべきことは山積みですが、それに対して「自分がやります!」と自ら手を挙げる人も多いですし。それにSlackに「# ダサいぞ」というチャンネルがありますよね。
早川:「# ダサいぞ」は、BASEのサービスについて「ここがダサいんだけど、これで良いんだっけ?」とか「ちょっとここ、分かりにくくない?」という意見をBASEのメンバーみんなが投稿できるSlackチャンネルです。エンジニアやデザイナーはもちろん、バックオフィスのメンバーやビジネスサイドのメンバーも意見を寄せてくれています。
ー職務に関わらずみんながプロダクトづくりに情熱を持っているんですね。
早川:BASEは本当にプロダクトファーストでものづくりをしていますし、メンバーもこの想いを共有しています。