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  2. デザイナードラフトReport
  3. 問題山積のデザイナー業界。目指すは年収底上げと変革。転職ドラフトが投じる問題提起とは

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(写真左から、島田、渕上、松栄)

2016年3月にサイトローンチされた転職サイト「転職ドラフト」。そのWebデザイナー・ゲームクリエイター版となる「デザイナードラフト」が6/13に開催される。(第2回は10/4開催)なぜこのサービスが生まれたのか?デザイナーの転職市場における問題は何か?転職ドラフトを1年間運営した経験も踏まえて聞いてきた!
(※リブセンス社内用インタビューを転用しています)

転職ドラフトメンバー紹介
渕上 航(ふちがみ わたる):デザイナー。2015年リブセンス入社。Webデザインに加え、転職ドラフトキャラクターの作成やイベントグッズのデザインも手がける。
島田 俊介(しまだ しゅんすけ):エンジニア。2014年リブセンス入社。現職エンジニアの傍ら、デザイナー経験を活かし、デジタルハリウッドSTUDIOにてトレーナー業も行う。
松栄 友希(まつばえ ゆき):ディレクター。2011年リブセンス入社。プロダクトマネジメントとプロモーションを主に担当。

年収が低い、キャリアパスがない、評価を受けづらい….デザイナーの労働環境の闇

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ーITエンジニア向けの「転職ドラフト」に続き、今回Webデザイナー・ゲームクリエイター向けの「デザイナードラフト」を開催することになったわけですが、まずはその経緯を教えてもらえますか?

渕上: 「デザイナー版を作って欲しい」という要望は、転職ドラフトを始めたかなり早い段階からあったんです。ユーザーさんからも企業さんからも。企業さんからの声が相次いだことで、どこもデザイナーの採用に困ってるんだなとすごく感じました。

松栄: それでデザイナー版の開催も検討しようということで、Webデザイナー・ゲームクリエイターの転職市場の現状や問題点を調べてみたんです。

ーどんな問題点があるんですか?

松栄: 端的に言うと、まずデザイナーはエンジニアに比べて年収が低いんです。実力というより社内相場として、「エンジニアの70%くらいの年収」という企業さんの声も聞かれましたね。

渕上: 正直悲しくなりますよね。しかも、一概には言えませんが事業会社と比べると制作会社はさらに年収が低いんです。巨匠と呼ばれるようなすごい人の下で学びたいから、または有名な制作会社に入りたいから、という理由で、年収が低くてもいい、という人たちは一定数いるのは確かです。ただ、それが基準になって全体の年収が低めになっている状況は良くないなと思っています。

ーそうなんですね。なかなか厳しいですね。

島田: また、キャリアパスの問題もあります。事業会社には所属しているデザイナーの総数が少ないので、キャリアパスやロールモデルが社内にないケースが多いんです。加えて評価者がデザイナーでない場合が多く、デザイナーをどう評価したらよいかをわかっていない、社内でデザイナーに対する評価軸が整備されていない、という場合も多々見られました。

渕上: だから、デザイナーの中には、自分の将来に不安があって、10年後はデザイナー辞めてるんじゃないかななんて言う人も多いです。

ーそうなんですか!せっかく専門スキルを磨いたのにもったいないですね…。

島田: 企業ヒアリングしたところ、デザイナーをエンジニアと同じ待遇で採らないのは、マインド面の問題もある、という話も聞きました。

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ーマインド面、というと?

島田: 「絵を作るのだけが好きで来られても困る」という話なんですよね。正直「自分がキレイ、美しいと思うものを作りたい」って言うデザイナーさんって多いんです。でも、それはアートであって、デザインではない。制約なく自分が好きなビジュアルを実現したいのなら、自分のポートフォリオサイトなんかを、思うように作ってくれたらよいと思うんです。
よくある話ですが、「収入とやりたいことは、往々にして反比例するので、それぞれのバランスで考えたほうがよい」という話でもあると思います。

ーつまり、やりたいことだけをやってる人が多いから年収が低い。年収に不満があるならアウトプットを考えないといけないってことですね。

Webデザイナー・ゲームクリエイターの年収問題と向き合う

ーでは今度はサイトの中身についてお伺いしたいんですが、デザイナードラフトの内容ってどうなっているんですか?

松栄: 基本的には転職ドラフトと同じ仕組みです。ユーザーは登録情報として、自分の実力を証明できる実績を入力します。そして決められた日に、Web上でドラフトというイベントが開催され、企業が一斉に指名を開始します。企業からの指名では、その人の場合の年収と指名理由、任せたい仕事内容が提示されます。参加したユーザーはそれを見てから、その企業と会うかを決められる、という仕組みです。

島田: またもちろん、自分以外の他の参加者が、どんなスキルを持っていて、どこの企業からいくらの年収を提示されたかが見えるのも同じです。だから「自分の実力にいくらの年収がつくか」、「高い年収を提示されている人や指名が多く入る人がどんなスキルを持っているか」もわかります。これからのキャリアを考えるいいヒントが得られると思います。

ーここがポイントというところは?

松栄: ユーザーとしては、自分のどこを良いと思って指名してくれたのかって、気になるじゃないですか。だから転職ドラフトと同じく、指名理由は必須項目として企業さんには入れてもらいます。そして、コピペの多用もできないように制限があります。また、転職ドラフトで、現職よりすごく高い年収が入った場合に、「何を期待されているか不安になる」「マネジメントがやりたいわけじゃないけど、それを期待されてそうで怖い」というユーザーの声を多々受けて、任せたい仕事の入力を必須にしましたが、デザイナーでも同じく必須です。このように、指名の質にはこだわっています。

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ーでは、デザイナーだからこそ変えたところはあるんですか?

島田: デザイナーに学歴は関係ないよねって話から、学歴項目自体をなくしました。

渕上: 実際僕も学歴を聞かれたことはないですね。また最近はデザイナーでも、テクノロジーから入ってきてデザイナーになるキャリアもあれば、ビジュアルから入ってきてデザイナーになるキャリアもあります。正直、美大じゃないといけない、とか関係ないですよね。

島田: あと、デザイナーなのでポートフォリオは必須にしていますね。テクノロジーから入ろうがビジュアルから入ろうが、デザイナーにとって制作物のクオリティは重要。その成果物に対してどういう関わり方をしたかを説明するテキストと、ポートフォリオは必要です。

ーなるほど。他にはありますか?

松栄: 企業が提示できる年収に最低額の制限を付けました。世の中には、Webデザイナーやゲームクリエイターに対して、生活が苦しいような低い年収しか出していない企業があります。でも、デザイナードラフトはそういう世界を変えていきたい。だから、金額の詳細はまだ議論中ですが、一定金額以下の低い年収は入れられなくしています。

渕上: また一方で、ユーザー側にも、自分に対する評価が低すぎて、希望年収として入れている金額が低すぎる人もいます。正直、それで企業に公開してしまうと「この人は買い叩いてもいい人だ!」という見え方をしてしまう可能性があるので、一定金額以下の人は「希望年収:XXX万円以下」という表示にして、不当に低く見えないようにしています。

ー企業とユーザー両方の意識改革と悪習の断絶を目指しているわけですね。転職ドラフトの方では、ユーザーの年収は上がったんですか?

松栄: 上がった例も多々あります。特に目立つ例は23歳の平均提示年収が530万円だった
ことですね。これは世の中の平均よりかなり高い。若手の方なら前職年収の2倍になった例もあります。もちろん若手以外でも上がった例が多々ありますよ。一方で、転職ドラフトに参加してみて、「現職がかなり恵まれた待遇なんだなとわかった、だから転職しない」という人もいます。それはそれで良いと私たちは思っています。

まずはデザイナーの市場価値を明らかにしたい

ーいちデザイナーとしてデザイナードラフトを作るにあたり、こうしたいという想いはありますか?

渕上: 受託系を中心に、徹夜するとか、年収がものすごく低いとか、労働環境が悪い企業はあります。そういった労働環境が良くなるようにしていきたいと思いますね。そして、将来的には、エンジニアと同じような年収まで持っていきたいなと思います。

島田: デザイナー転職市場が悪慣習などによって今が歪んでいるんだとしたら、それは企業側が強者、労働者側が弱者に見えがちだけれど、必ずしもそうではないんだろうなと思っているんです。デザイナーは自分がやっていることやその成果の説明責任を果たせていないのではないか、今まで成果アピールや待遇交渉においてビハインドしてきたんじゃないかと。そこに追いつけるには、各人が意識を持って動くことが大事だと思うんです。

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ー具体的には?

島田: エンジニアに比べると、勉強会やコミュニティも少ないし、LTもあまり見かけません。プレゼンをしたり、自分の成果をドヤるのは苦手なんだと思います。デザイナードラフトを活性化させていくと、そういう意識も変わって来るんじゃないかなと思います。もうちょっとまともな世界を作り出せるんじゃないかと。そういう悪慣行から、企業も、ユーザーも解き放ちたいと思いますね。

松栄: 転職ドラフトも一年間やってみて、数字感がわかってきたんです。2〜3年くらい真面目にまともにやっているエンジニアは少なくとも500〜600万円は、まずもらえる。逆に言えばそこから上の年収を得るには、何かしらの強さが必要になってくる。デザイナーはまだ現在見えていないけれど、1年くらいやれば、このくらいのデザイナーはこのくらいの年収をもらえるものなんだ、ということがわかるようになると思うんです。デザイナーの市場ももっと透明化していきたいと思っています。

島田: そうですね、デザイナードラフトが、デザイナー労働市場の統一した指標になればいいなと思います。

渕上: そして、買い叩かれている人たちを無くしていきたい。

ーなるほど。熱いお話をありがとうございました!