去る9月4日、デザイナードラフトが主催する「エモいデザイナー採用大公開!」というイベントを開催しました。本記事では、その一連の模様を余すことなくお伝えいたします。
こちらの記事は「エモいデザイナー採用大公開!」のイベントレポートの1/3記事目です。その他の記事は下記からご覧になれます。
企業もデザイナーも幸せになる「エモ採用のススメ」
エモいデザイナー採用大公開!〜パネルディスカッション〜
最初の登壇者はリブセンスでデザイナー採用をしている人事担当の鹿山です。
「なかなかデザイナーを採用できない…。」
「そもそもデザイナー出身じゃないから、デザイナーに対してどうやってアプローチしたらいいのか分からない…。」
そうお困りの人事の方も少なくないはず。鹿山は元人材紹介のエージェントだったのですが、人事就任後に複数のデザイナーを採用することに成功。
「たとえデザイナー出身じゃなくても、自分の強みを活かせばデザイナーを採用することはできる」と、鹿山は語っています。
この記事では鹿山がどうやって失敗から学び、いかにデザイナー採用を成功させる方程式を見つけ出したかをレポートします。
就任当時、デザイナー採用はうまくいってなかった
今回は、私が人事に異動してきてどんな採用を行ってきたかをお話させてください。
まずは簡単に自己紹介をさせていただくと、私は前職とリブセンスとあわせて10年程、人材紹介に携わっていました。そして人材紹介ビジネスの責任者を務めたあと、2018年1月に人事部へ異動したことが、中途採用に関わることになったきっかけです。
しかし異動したばかりの頃、デザイナー採用は正直あまりうまくいっていませんでした。
当時を振り返ると、採用目標を達成できなかった原因は「デザイナー採用でリブセンスが強みとしてアピールできる部分がなかったからだ」と感じています。言いかえれば自社の強みを打ち出せなかった結果、転職を考えているデザイナーにとってリブセンスという会社はあまり魅力的には映らなかったのでしょう。
自分の強みを活かして実践した5つの採用改革
じゃあ、リブセンスの魅力をデザイナーに伝えるにはどうしたら良いんだろうと考えて、実践したのがこちらの5つです。
①採用フローの見直し
②自社の強みを再定義
③カジュアル面談の強化
④エージェントとの関係強化
⑤面接官との目線あわせ
採用フローの見直し
まずは採用フローの見直しを実施しました。というのもリブセンスでは事業部制を敷いているため、デザイナーも事業部ごとに配属されています。だからこそ候補者にとって、どの部署に配属されてどんな働き方をするのかを知ることは、入社するかどうかを決めるうえでとても重要ですよね。でも今までの弊社の採用では、最終面接まで進まないと事業部責任者に出会えなかったのです。最終面接に進む前に選考辞退する候補者も少なくなかったので、やはり入社後の具体的なイメージを提供できていなかった状況でした。そこで、選考フローの見直しでは、二次面接の面接官を事業部責任者やCPM(チーフプロダクトマネージャー)に務めてもらうことにしたんです。
面接の場では、メディアの方向性や今後プロダクトが目指すビジネスの将来性について話してもらうようにしました。この結果、選考の歩留まりを改善することができました。
自社の強みの再定義
続いて自社の強みの再定義についてですが、先程お話した通り、「デザイナーとしてリブセンスで働く魅力」を再発見することが私たちの課題でした。そこでリブセンスにあるリソースを全て洗い出したところ、デザイナーに特化した評価軸があることこそリブセンスの強みだと気づいたんです。
というのも、デザイナーだけの評価軸で評価を実施している企業は、あまり多くはありませんでした。このリブセンスならではの強みを全面に打ち出したのがスカウトです。スカウトは候補者にリブセンスに興味を持ってもらうきっかけとなっただけでなく、エージェントにも展開しやすかったことも功を奏しました。エージェントにはスカウトのテキストを配布して「こういう強みがあることを求人票に展開してください」と依頼したり「面談する候補者に渡してください」とお願いしていましたね。
カジュアル面談
3つ目がカジュアル面談ですね。正直な所、私はデザイナーではないので面談では基礎的なデザインの話しかできません。むしろ、知ったかぶりをして無理に話を合わせてしまうと、逆に信頼を失ってしまいます。そこで候補者とは、挨拶をするタイミングで自分がデザイナーではないことを伝えたうえで「今回の面談では、デザイナーの専門的な仕事の話はできませんが、人事担当として社内の環境面や社風など”会社のハード面”についてはお話することができます。もしリブセンスに興味を持って頂けたら、本選考に進んで頂いて弊社のデザイナーと会ってみませんか?」というスタンスで面談を進めていました。
エージェントとの関係強化
4つ目のエージェントとの関係強化については、私の経歴を一番に活かすことができたんじゃないかなと自負しています。リブセンスのデザイナー採用の場合、候補者の大半はエージェント経由で応募しているので「エージェントは採用の協力なパートナーである」と言っても過言ではありません。そこで私は、特に強い関係性を持っているエージェントとは、月に一度定例会を実施しています。そこでは採用状況を共有したり競合企業の動向やマーケットトレンドなどの情報収集をしています。さらにエージェントとKPIとして握っている数値が求人紹介率です。
求人紹介率は以下の数式で算出しています。
求人紹介率=求人紹介数÷ターゲットの対象者数
つまり、私たちがターゲットにしている人物にたいしてリブセンスの求人をどれだけ紹介してくれているかをKPIにしています。というのも当時の私が課題と感じていたのは「リブセンスの良さがデザイナーの方々に伝わっていないこと」でした。リブセンスの知名度を高めるために人事担当の私が活動するのも手段の一つですが、それよりもエージェントが広告代理店となってリブセンスを良さを伝えたほうが、少ない時間と工数で網羅的にリブセンスの良さを告知してもらえると考えました。
面接官との目線合わせ
最後が面接官との目線あわせですね。当たり前のことかもしれませんが、社内のデザイナーや二次面接で面接官を務める事業部長やCPM(チーフプロダクトマネージャー)、さらに代表の村上に対しても、面接ではどういう部分を重視して見るかを随時確認しています。中でも重要視しているのはポートフォリオですね。というのも、私自身ポートフォリオ審査で失敗してしまったことがたくさんありました。
たとえば、ポートフォリオがキレイだったり経歴がキラキラしている人が、自社にマッチした人材だとは限らないんですよね。また当時は、面接官同士でポートフォリオのどの部分を評価するかを擦りあわせていなかったので、余計な工数だけ掛かってしまって採用に至らなかった…なんてこともありました。この失敗を踏まえて絞り込んだ確認点が「デザインのテイストが自社に合っているか?」や「根拠を持ってポートフォリオを作っているか」などです。特に弊社代表の村上は「ポートフォリオに根拠があるか」を必ず聞くので、この質問に対応できる候補者かどうかは、最終面接に進む前に重点的に確認しています。
デザイナー採用をしてみて分かったこと
これらの採用改革を実践して分かったことがいくつかあります。それがこの3つの極意です。
①エージェントとの関係強化の極意:シンシさとスピードが大事
②ポートフォリオ審査の極意:根拠と行動をチェックする
③カジュアル面談の極意:自分の得意分野を活かして魅力づけする
まずエージェントとの関係強化の極意ですが、日頃から真摯にコミュニケーションを取ることで密な関係性を築くだけでなく、リブセンスという企業に興味を持ってもらうことを重要視しています。さらに、結果を急いでいる候補者に対してスピーディな選考を行うことで、エージェント「リブセンスはこちらの融通に合わせてくれるから重宝できる」と認識してもらえることも大切です。
ポートフォリオ審査では中身の美しさについ惑わされてしまうものですが、それよりも大切なのはポートフォリオに根拠があるかなんですよね。というのも、デザインの真意を理解するためだけでなく、デザインの再現性を担保するためにも根拠を理解することが非常に重要なんです。
そして最後はカジュアル面談の極意ですね。私の場合は、エージェントとしての経歴があったからこそ「リブセンスはデザイナーが働くうえでの制度が整っている」と認識していたし、それをカジュアル面談でアピールすることができました。
私の場合はエージェントや人事としての分野ですが、いわゆる「自分が強いフィールドで勝負すること」が、デザイナー採用に限らず中途採用では大事なのではないでしょうか。